意識しないと見えてこない。

西洋医学の常識から言えば、手首の動脈で病気のいろんなことがわかるというのは、とんでもない話かもしれません。
しかし、現実には血圧、脈拍以外のもっと多くのことがわかります。
それはなぜか?
理由は簡単でありながら、少し難解かもしれません。
それは、脈に身体のすべてが現れるという意識で見ているかどうか?ということなのです。
日常の生活でも経験があるかもしれませんが、人間は意識していないことはいとも簡単にスルーしてしまうのです。
東洋医学では、【部分は、全体の縮図である】と考えます。
人間の身体が小宇宙と考えるのもその考えが基礎になっているのですね。
脈診をするあの部位に身体が全体が収まっている。
そういう意識があったからこそ、身体の状態によって違う脈に気付くことができたのです。
西洋医学的な視点で、とんでもないというのも、そういう意識がないから気づきようがないということです。
ところで、これは患者さんに聞いた話ですが、
金属の板を完全なる水平に削ろうとした時、機械ではそれができず、職人の手でならできるそうです。
職人さんが意識して面を触り、感覚で水平でないところを見つけるのです。
つまり、人間の感覚は、意識すれば機械よりも繊細な感覚を生み出す、ということなのです。
脈診でも、鍼灸治療においても、意識の力によって研ぎ澄まされたその感覚によって、身体の微細な変化を捉えます。
意識しているからこその技術なんですね!




