【動】を鎮めよ。

間が空きましたが、今日は東洋医学の真面目な話。
東洋医学の考え方でいくと、人が何かを行おうとするとき、肝臓の気が動くことからスタートします。
別の言い方で言うと、体内で「欲求」「欲望」の芽が生じることになります。
その肝臓の【動】は次第に大きくなり心臓に伝わり熱を帯びます。
何かに夢中になり取り組むことの表現として「熱心な」という言葉を使うことからも想像に難くないかと思います。
ただ、その熱が過大になり過ぎると身体にとっては良くないというのが、東洋医学の様々な書物において書かれています。
熱が大きくなりすぎると、体内の水を損なっていきます。(水は熱により乾かされ減少していきます。)
その場合、漢方や鍼灸においては「滋陰補水」を意識して治療をしていきます。
予防医学の立場からすれば、確かに「滋陰補水」を行うことで身体のバランスが取れますが、そもそも熱を過大にさせることこそ問題ですからそこを抑えなければ、予防はできません。
その点においては、前述の東洋医学の書物に留まらず、仏教などの書物、養生書においても同じことが書かれています。。
どういう内容かというと食欲、性欲を始め、あらゆる欲求を過度にならぬよう自制することです。
最初の東洋医学の言い方に変えると「肝臓の【動】を鎮めよ」ということになります。
そのことが過度な熱の発生を抑え、身体の基礎である水を守り、無病長命をもたらすものとなります。
養生の基本です。ぜひ覚えておいてください。