コロナ後遺症と鍼灸

今回はすでに当院にお越しになっている方も多い【コロナ後遺症】について東洋医学の視点からお話したいと思います。
新型コロナウイルスによる感染症は東洋医学の視点では【外感病】と言います。
外部の環境要因(=外邪)が人体の恒常性を乱すことによって起こす病気です。
外感病は字の通りに外から始まる病なので、体表において始まり体表で終わるのが最も軽症となります。
現象でいうと発熱、頭痛に始まり、発汗で終わるというものです。
本当に軽症であれば、これできれいさっぱり治ります。
しかし、様々な要因により、きれいに治りきってくれないということが起こります。
このようなことが起こる理由は以下の二つ。
①外邪の影響が身体の奥まで及んでしまった。
②身体が弱ってしまっていて病を除くことができない。
①の場合、体表の熱が取れても、身体の深いところに熱が残っているという状況です。
「熱は下がったけど、咳が止まらない」といった症状は熱が肺に残っているというもので、これに当てはまります。熱の残る場所によっては違う症状が出ます。
②の場合では、外邪の影響を取り除く力が不足している状況です。
力不足のまま、外邪と身体が闘っている状況ですので、外邪を追い出すこともできず、疲労だけがたまっていきます。
「高熱はないが、微熱が続いて身体がだるい」といったものがこれに当てはまります。
①②いずれの場合においても外邪の影響が取り除かれるまでは、その身体の状態は続いていきます。
これが東洋医学から見た【コロナ後遺症】です。
①においては、その熱を外に出すように、②においては疲れた臓腑を助けるようにして鍼や灸にて対処していくことになります。
東洋医学においては、ウイルスそのものよりも、その影響を受けた身体の方に主眼を置きます。
身体が外邪の影響を受けなければ、そもそも発病することもないですし、影響を受けても弱っていなければ発病しても軽く済み、後遺症も少なく済みます。
普段からの養生が大切だという所以ですね。