主訴:アトピー性皮膚炎(膝裏、肘、下腿)
来院一年前くらいから、肘や膝の裏に湿疹ができ始める。湿疹は赤みが強く、滲出液があり、痒みがひどい。
湿疹のため、夏でも長袖を着て隠している。
その他:腰痛・肩こり(左)・月経痛・不正出血あり。
■東洋医学的診断と治療
この症例には、身体の状態を示す脉の状態に二つのポイントがありました。
まず一つ目は右手の脉にでている、渋脉という脉です。これは肺の働きが弱くなり、気の流動性が渋っているという脉です。
ここでは、脾蔵の働きが鈍ることで生じた湿気がそれを邪魔していることによるものです。その湿気のために、滲出液のある湿疹となっています。
二つ目は左手の脉にある、風邪の脉です。
普段は常に皮膚表面からの気の発散があるものなんですが、風邪によってその発散が阻害され、余分な熱が皮膚表面に停滞してしまっているのです。
これにより、皮膚での炎症が起こっていました。
脾虚による湿熱が皮膚に停滞し、その熱の発散を風邪が阻害している病態と見たて、治療には、肺経の列缺という経穴(ツボ)から湿気を抜き、左の肩背部から風邪を発散させるという治療を行ないました。
初回の治療後は皮膚の赤みが引いていき、施術を繰り返して行なっていくことで、滲出液、痒みともに減少していきました。
完治までは約1年を要しましたが、その後の再発はありません。