主訴:頭痛(前額部)
朝の起床時や、夕方あたりになると、ズーンというような頭痛が起こる。1年前にもおなじようなことがあったが、再び悪化したため来院。
■東洋医学的診断と治療
この方の脈は、深く沈んで遅脈というものでした。
深く沈むという事は、脈を取った時に、皮膚から少し奥にあるとりづらい脈の事です。
これは気の流れが深いところにあるということです。
また、遅脈というのは、字のごとく脈拍の遅い脈の事です。
脈中に湿気が多く、動きが鈍ることで、出てくる脈です。
湿気が多くなるのは、脾胃に負担をかけている時が多いのですが、
問診にて食欲旺盛で、甘いものもよく食べるということがわかりました。また便通は毎日あるものの少し堅めであるということです。
以上の事から、湿気の多い重たい気の流れが、沈んで遅という脈を表わしているとわかりました。
この方の頭痛は、前額部の痛みですが、その部分には胃の経絡が流れます。
つまり、脾胃への負担から生じた湿気の多い脈気が、胃の経絡に停滞して起こった頭痛ということなのです。
施術には、胃の経絡の足三里というツボ、そして脾胃を助ける胆のうの経絡にある臨泣というツボなどを用いました。
施術後には、少し柔らかい便がでるようになり、頭痛も寛解したということです。
便が柔らかくなったのは、脾胃に停滞していた湿気が外へ出てきたという証拠なのです。