主訴:肩こり・偏頭痛
数年来、上記の主訴に悩まされている。その症状はストレスがかかると増強し、風邪の初期症状のような身体の状態になる。
その他:腰痛・疲労感などを訴えている。子宮筋腫がある。
■東洋医学的診断と治療
この方は、脉が弦脉と呼ばれる形をしています。
弦脉とは、その名のとおり弦のようなつっぱった脉で、気の欝滞からその脉が出ることが多くあります。
特に右の上半身の部分にその停滞が強く、そこから肩こり、頭痛が起きています。
右側というのは、身体の内側から生じる病の反応が出やすい部分であり、症状の悪化要因として挙げられているストレスが、主訴を引き起こした原因と考えられます。
肝気の欝滞とそこから生じたオ血を伴う病態と判断し、気滞を通じさせるための治療とオ血を動かす治療を軸に、合谷、太衝、臨泣、肝兪という経穴(ツボ)を治療しました。
治療後は、上半身の力が抜けてとてもリラックスできるとのこと。
鍼を始めてから1年くらい(回数にして10数回)の頃、左側の腰部に痛みが生じる。
普段の腰痛は右が主だったので患者さんは驚いていましたが、脉を診たところ弦脉が緩んでおり、良い反応と判断して同じ治療を続行しました。
3日くらいして、黒い色の便が出た後に腰部の痛みはなくなり、さらに全身の緊張がとれたようになる。
この黒い便がオ血が動いた証拠であり、邪魔するものが動いたので気の流通がよりスムーズになりました。