主訴:低体温、身体のだるさ
以前から身体のだるさが気になっていたところ、体温を測ってみると、35度台前半くらいしかなかった。
身体がだるく感じるのは、体温が低いからかもと考え受診される。
■東洋医学的診断と治療
まず、脉の特徴をあげると流れが深い部分に入ってしまっているということがあげられます。
また、脉自体の流れが渋ってしまい、気の流動性が失われています。腹部を診ると、みぞおちに硬い部分がありながら、下腹部は力がなく柔らかい状態となっています。
このようになった原因としては、まず経脉の気の流動を主る肺のパワー不足、そして気の停滞を生む肝気の欝滞が合わさっていると考えられます。
肝気の欝滞というものはストレスなどにより気が抑えられることで起こります。
その気の欝滞が肺にも影響したことで、脉が浮力を失い深く沈んでしまっていました。
この方の場合は、身体を温める陽気の力は十分もっているのですが、それが深い部分から外へ出てこないことで、体温の低下が起きていたようです。
肝気の欝滞からスタートし、徐々に肺のパワー不足へとつながっていった状態として、肺経の列缺、肝経の太衝、肝兪などに施術を行ない、回数にして4、5回くらいの頃には、36度台まであがるようになり、身体のだるさもなくなっていきました。
脉は気の流動を抑えていた肝気の欝滞がとれて、脉が表面にまで浮いてきて、渋った流れが改善されています。