主訴:ベーチェット病(主に手足にできる結節性紅斑)・月経過多
数年前にベーチェット病と診断される。投薬治療により症状が寛解しているが、薬は飲み続けなければならない。また20歳ごろから過多月経が続き、これも薬で治療しているものの、貧血を起こすこともある。
■東洋医学的診断と治療
まず特徴的なのは右脉の腎が蓄えている水が少なくなっているということです。これは右手の尺中という部分に弦脉がでていることでわかります。弦脉は水が少なくなって固くなることで出現します。
さらに右手の脉全体では、滑脉という陽気が強く熱をもっている状態を示す脉が出ています。
左手の脉も弦脉が出ていますが、こちらは脉の表面の部分が特に顕著です。これは身体の深い部分で陰気が足りず、身体を潤す水分が充分に行き渡っていない証拠になります。
背中をチェックしてみると、上半身の肩甲骨の間がカチコチになっており、気の発散が十分でないようです。このため、普段から肩こりがありあす。
問診上でわかったことは、20代の頃、仕事の都合で夜中まで作業をしなければならず、睡眠時間も少ない生活を送っていたとのことです。
これらから、腎蔵の水が少なくなることで、身体の熱をうまくコントロールできなくなり、その熱が起こす病態だとわかりました。
内部の熱が外へ発散されようとするときに、上半身の気が詰まっており、発散できず、皮膚付近に停滞し、そこに結節性の紅斑を生じます。
また、その熱が生殖器系に行くことで、月経量が増え、出血が増えることで貧血の症状を出していたことと思われます。
-治療-
腎虚より発生した虚熱が熱のコントロールと気の発散を阻害している身体として治療をしていきました。
まず熱のコントロールですが、これには右の心包経と呼ばれる経絡の内関という手首の少し上の所にあるツボを主に用いました。
また肩甲骨の間のコリを丁寧に鍼することで気の発散を助け熱を外へ出していきます。
腎の水を増やし、熱を鎮める方法としては、ふくらはぎの内側を流れる腎蔵の経絡と脾蔵の経絡を治療に使います。
以上の治療で熱のコントロールがうまく出来だすと、紅斑が出来にくくなっていき、今では投薬がなくても、紅斑はでないようになりました。
また腎の水が増えることで熱がなくなり、月経量も安定しています。こちらも投薬なしでも大丈夫なようになりました。