主訴:軽度の強皮症・レイノー現象(主に両手の指先の循環障害)
手の指先に起こるレイノー現象。随伴症状として、腫れぼったい、朝方握りにくい。また1ヶ月に1回くらい、全身の筋肉の痛みやだるさがでることがある。これは姙娠中にも起こった既往がある。
■東洋医学的診断と治療
レイノー現象とは、寒い時や緊張時に指先が真っ白になり、その後しばらくしてから徐々に色が赤や紫となり、元に戻っていく現象です。この時にしびれ感を伴う事もあるようです。
血の循環には、その血を動かす陽気が不可欠です。レイノー現象も指先の陽気の循環が悪くなることで起こります。
脈を取ってみると両脈とも、寸口部が弱い脈になっています。寸口部とは身体で言うと上半身にあたる部分で、心臓と肺臓の働きを反映しています。
その部分の弱い脈は陽気の循環が弱っていることを指します。
また、脈の形はやや浮かんで弦脈を示していました。これは血が少なくなっている証拠で、陽気が足りないのもこのせいのようです
随伴症状に朝方握りにくいと言った症状や、全身の筋肉の痛みやだるさがありましたが、筋肉の血が少ないことによる症状であり、それをコントロールしている肝臓において血が少ない現象が起きているようです。
肝臓は血が少なくなると、身体を収縮させて血を集めようとします。それでも血が足りないとさらに収縮しようとします。すると陽気の動きが鈍くなり、冷えがさらに悪化してしまうのです。
つまり、肝臓の血が少なくなり、陽気の循環を乱すほど、収縮が強くなることで起きた病気という事になります。
-治療-
肝臓の血虚より発生した陽気の循環力の弱りと冷えが起こした病態として治療をしていきました。
血が少ないという事は増やさなければならないので、足三里という胃に関わるツボで血の生成力を高めます。
次に収斂した肝蔵の経脈にお灸で陽気を与えて、循環を高めます。また、頭のてっぺんにある百会というツボに優しく陽気を補う鍼をすることで、陽気の循環力を助けます。
以上の治療を中心とした施術で、来院当時は真冬だったにも関わらず、レイノー現象が起こる頻度は減っていきました。
また、レイノー現象が治まってくると、指先の固かった部分も柔らかさが出るようになりました。