主訴:胸苦しさ(呼吸困難)・食欲不振
今年の7月までは、元気だったのだが、8月から急に調子を崩しだした。
胸が苦しく、息がしづらいのと、食欲がなくて、食事が進まない。
その他には、フラフラしやすい、不眠などの症状がある。
■東洋医学的診断と治療
この方の病状を判断するポイントは、脈診と腹診の二つありました。
まず、脈診ですが、右手の脈が少し力を入れて診ないとわからないくらい、深いところに沈んでいました。
特に肺の働きを診る部分においてそれが現れており、脈中の気血を巡らす肺の力が弱っていることがわかります。
次に腹診におけるポイントですが、それはみぞおちのつまりです。
みぞおちのつまりは、横隔膜よりも上の状況を表わしており、胸腔内の動きの悪さを示しています。
これも、肺の働きが弱っていることを示すものです。
この二つからわかる事は、肺の働きが弱まっていることで、胸の中の気の動きが悪くなり、胸苦しさなどが起こっているという事です。
そして、肺の働きを弱らせてしまった原因として、肝臓の気の上昇が考えられました。
問診からストレスが少なからずあるということがわかっていましたし、背中の肝臓のツボから、上半身にかけて気の停滞が出ていたからです。
以上から、肺の働きが弱ることで、肝気の上昇を降ろせなくなり、胸に気が停滞しているために起こった胸苦しさ(呼吸困難)・食欲不振と判断し治療を、行いました。
胃の上方にある上脘というツボや、頭のてっぺんの百会というツボなどを用いながら、胸の中における気の停滞を取り除いていきました。
2回目ごろには、寝つきがよくなったという変化が現れ、5回目ごろには、徐々に食事がとれるようになりました。
現状は、ほぼ普段通りの食事量となり、胸の苦しさもほとんど出ていないという事です。