主訴:突発性難聴
1ヵ月ほど前、朝起きた時点から発症。電話を取って声が全く聞こえないことで気付く。
ステロイドを用いた治療を3週間受けているがあまり変わらず。
その他の症状として、足がよくつる、肩こり(右>左)がある。
■東洋医学的診断と治療
この方の身体の場合、右の脈に特徴がありました。
脈を取ると、手首側はやや内側に寄っているのに対し、少し肘側にいくとやや外側に偏っているのです。
次に脈の形状ですが、弦脈という脉が出ています。
弦脈は、肝臓の気が強くなることで出やすくなる脈で、その気が上方へ昇り過ぎると、前述のような偏りがある脈となります。
ご本人、曰く「少し神経が高ぶっている」とのことでしたので、その影響と考えられます。
肝臓の気は、ストレス等で高ぶるからです。
さらに腎臓を調べる部分には、細くなった弦脈が見られます。
これは、肝臓が高ぶることで、腎臓の気を余計にとっているからなのです。
腎臓は耳を管轄している臓器で、この方の難聴はここからきているようでした。
以上から、肝臓の気の高ぶりによって引き起こされた、腎臓の虚からくる難聴と判断し施術を行いました。
施術には、肝臓の経絡にある行間というツボや、足の内くるぶしにある腎臓のツボを主体に用いました。
1~3診目までは、あまり変化がありませんでした。
そこで、肝臓の気を緩めることのできる胃に関わる経穴をプラスすると、翌日には耳が通りだしました。
施術ごとに腎臓の部分の脈が太く柔らかくなっていき、同様の施術を数回続け、テレビの話し声が理解できるほどに寛解していきました。