主訴:脊椎すべり症(両下肢疼痛・腰痛)
初診、半年前位から腰や太ももの裏あたりに筋肉痛のような痛みが出る。レントゲンにてすべり症と診断されるも痛みは引かず。
疼痛は、左右差なく、朝起き上がる時に最も痛みがあり固まった感じ。外出時にも痛みで、休み休みになる。
現病として関節リウマチ→投薬にて安定している。
■東洋医学的診断と治療
この方の脈の特徴は、沈脈というものでした。
沈脈とは、脈を取った時に皮膚から少し深くおさえて察知できる脈の事で、身体の深部に病気があることを示唆します。
全体の脈の形は細いながらも、手首側と肘側では、手首側がやや太くなっています。
実は、これが病態のポイントになっていました。
腹部を見ると、みぞおち~肋骨にかけて堅さがみられ、一方背部では、左腰下部に停滞が見られました。
みぞおちは心の部、腰は腎の部にあたります。
さきほどの脈で手首側がやや太いと言いましたが、手首側は人体で言うと上部にあたります。
つまり、上部に流れの偏りがあり、下部には流れが行っていないという事なのです。
以上のことから、上部、心気の停滞から、下部、腎に気が下りないことによる疼痛として施術を行いました。
施術には、左腰部にある小腸兪というツボ(小腸は心との関わりが深いのです)や手首の内関というツボなどを用いました。
最初の方は、なかなか変化が見られなかったのですが、徐々に痛みの緩和が見られ、
最終的には、ほとんど痛みがない状態にまで回復しました。
この成果は、根気強く通われた患者さまの努力のたまものです。