主訴:産後腰痛・倦怠感・胃痛
第一子を出産後、しばらくすると腰痛が出だした。同時に身体全体の倦怠感もあらわれ、そのような時は食欲が減って胃痛が起こる。
肩こり、首こりは出産前からあり、便秘(3日に1回・固め)も気になっている。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈は、浮かんで大、そして少し堅めの脈でした。
浮脈というのは、皮膚に近い部分で良く触れる脈のことです。
大、そして堅めの脈という事からは、血の不足ということが読み取れます。
問診で出産時の様子を聞くと、出血が多かったということですので、やはりこの脈は血の不足から起こっているものと考えることができます。
さらにこれらの症状が月経時に悪化することからも、それが証明されます。
次に腹部を診察すると、右下腹部~へその下腹あたりが、張っていて、押さえると痛みがあるということです。
この部分は脾蔵や胃の経絡が流れるところであり、血の不足による熱が停滞しています。
この熱が脾経や胃経にあふれて腰痛、そして倦怠感が生じています。。
また、その熱により、尿量が減っており、水が胃に停滞しやすくなり胃痛となっていたのです。
以上のことから、出産による血の不足からくる熱が、脾経、胃経に停滞し、膀胱、胃に波及したものと判断し鍼灸治療を行いました。
治療には、胃経の足三里、脾経の陰陵泉などの血を生成するための経穴と、中極という膀胱のツボなどを用いました。
普段の腰痛に関しては、早くに寛解がみられましたが、月経時の腰痛は、程度の緩和はありましたがしばらく続きました。
そこで、右下腹にある大巨というツボを用い、腹部の熱を動かす処置をしたところ、月経時の腰痛もほどなく治まりました。
同様に倦怠感、胃痛等も緩和され、現状は良好な状態という事です。