主訴:月経困難症(頭痛・肩こり・吐き気)
出産後、月経前に頭痛、肩こり、軽い吐き気など、風邪のような症状が出るようになり、1~2日は寝込んでしまうような状態が2年ほど続く。
二人目を出産後、それがひどく出るようになり、受診。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈の特徴は二つあります。
まずひとつめは、右脈に締まりがなくゆるんだ脈であること。
ふたつめは、左脈に水があふれていることです。
右脈の緩んだ脈は脾臓の弱りを示します。
脾臓は消化器系と考えていただければいいのですが、そこの働きが弱いために、気血の生成が少なくなっています。
また左の脈は、陽気の生成不足のために、体内水分が停滞しがちになったことで、そのようになっています。
問診をすると、胃は脂物やお肉の消化が悪く、時々胃もたれがあるそうで、脈の状態と合致します。
そして腹部を見ますと、全体に力がなく、下腹部は若干冷えているようです。
月経時の診察では、下腹部の冷えが強くなり、みぞおちの部分に熱がでてきました。
これは、冷えのために、上半身が頑張っている姿で、この熱が主訴を引き起こしています。
以上から、気血の生成不足により身体が寒傾向にあり、月経時の出血がそれを悪化させることで、上半身の熱症状となった。
と、判断して施術を行いました。
施術は、胃の真ん中にある中脘というツボや、血中の陽気を増す肝蔵の経絡のツボなどを用いました。
治療を続けていると、胃の働きが少しずつ変わってきたとのことで、そのころから月経時の症状も和らぎ、寝込む必要はなくなっているとのことです。