主訴:左肘痛を主とする両手の指、腕関節痛
2年ほど前~肘や手首、指の関節に痛みが出るようになる。そして半年前から左肘痛が顕著に出だす。
痛みは、仕事での疲労時や寝ている時、冷えた時などに悪化する。
その他、左肩甲骨の周辺にも痛みが出ている。病院でリウマチのケがあると言われた。
胃下垂があり脂っこいものを食べると胃もたれする。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈には、全体の脈の形状と左の脈の一部に特徴があります。
まず、全体の脈状なのですが、細い脈で、表面のみやや堅めの脈です。
深くおさえると空虚な感じがあり、内側への血流が少ない脈です。
これは、身体の血が減少することにより起こる脈です。
次に左の脈なのですが、上半身の状態を診る部分のみ、内側に締まっています。
これは、その部分に停滞が起こっていることを示すものです。
問診で、仕事量を増やした頃に起こり始めた症状ということでしたので、おそらく疲労による血の消耗から、このような状況ができたと考えられます。
胃下垂があり胃の働きが十分でないのも、血が減少した遠因になります。
血が減少して身体が冷えてしまうと、一部分では逆に熱をもつことがあります。
この熱が関節に停滞したままで、冷えてしまうとその部分における停滞が強くなり痛みが発生します。
以上のことから、疲労による血の減少から起きた関節の熱が、外部の冷えにより停滞している身体と判断して鍼灸治療を行いました。
治療は血をつくるために胃腸の働きを上げる足三里というツボ、左上部の熱を冷ますために後谿というツボや小腸兪というツボなどを用いました。
施術を続けているとまず、右手側から痛みが減っていきました。
疲労時や、寒い時などは痛みが強くなる傾向があったのですが、身体が血を生成する力をつけてきたころにはそういったことも減っていき、左側の関節痛もほどなく治まっていきました。