主訴:胃もたれ(胃痛)・頚、肩の凝り
普段から胃の調子が悪くなりやすく胃もたれがある。時折、胃痛となり、その時は嘔吐することもある。
肩凝りは、左側に出やすく、悪化すると左の上腕部に痺れが出る。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の右脈は、水気が多い滑脈という脈だったのですが、表面だけがピンと一筋張った脈となっていました。
この脈は脾臓の働きが崩れ、気血水の内、主に水が停滞した時に現れるものなのです。
この水の停滞は胃の部分に多く停滞しています。というのも、腹診において、お腹の中央にドクッドクッという動気が見られたからです。
さらに、下腹部の膀胱あたりの圧痛が顕著で、膀胱付近にも水と熱の停滞があるようです。
問診にて、暴飲暴食をしてしまった時ほど、症状が起こりやすくなるという情報も得ることができました。
東洋医学では、脾臓は消化器系の働きと考えます。つまり、飲食の不摂生が脾臓に負担をかけていたと考えられるのです。
以上のことから、飲食の不摂生により脾臓の働きが落ち、膀胱に水熱の停滞が生じる。その停滞が胃にも波及したことで起こった症状として鍼灸治療を行いました。
施術には脾臓の水を動かす陰陵泉というツボと膀胱の上あたりになる中極というツボを用いました。
施術後には、胃のあたりの不快感が減り、実際に腹診上でも水の動きが認められました。
さらに施術回数を重ねていくと、少々の暴飲暴食をしても胃もたれ程度で済むように症状は変化していきました。
左肩こりはというと、脾臓からの熱が胆のうの経絡に停滞していましたので、臨泣というツボを用いて治療していくことで、治っていきました。
現状では、時々症状が出るものの軽度であり、すぐに消失していくほどまでになっています。