主訴:不眠(寝つきが悪い)・便秘
この1年くらい、疲れがとれにくく、夜の寝つきが悪い。さらに便通も悪くなってきて3~4日に一度くらい。便が良く出ないからか、食べるとお腹が張って苦しくなる。
その他には、頭痛、肩甲骨内側の凝りがよく起こり、頭痛薬を服用する頻度が増えてきている。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈における最も重要なポイントは左脈にあります。
左の脈は滑脈と呼ばれる脈で、通常は、脈中に水気が多く流れがスムーズだというものなのですが、この方の場合は滑脈でやや脈拍が早く、少し浮いてきているという状態でした。
さらに、腎臓の状態を調べる部分のみ、堅く沈んでいます。
これは、腎臓にある水が熱によって浮いてきているということを示しています。この状態では腎臓には水が少なくなっているので、堅い脈になります。
腎臓は身体に水分を循環させる役割がありますが、腎臓の水が減っていることで、身体に余計な熱が増えています。その熱のせいで、脈が浮かんできているのです。
この水の減少は大腸にも影響しているようです。
さて、その熱ですが腹部を見るとその停滞部位がわかります。
両方の脇腹からみぞおちにかけて肋骨の淵が堅くなっていたからです。
ここは、肝臓と胆のうの経絡の反応がよく出るところです。
以上から、腎の水が少なくなりそこから発生した熱が頭部や肝胆の経絡に及ぶことで起こった症状として鍼灸治療を行いました。
施術は、足の小指と薬指の間にある臨泣と言うツボや、腎臓の水を増やす照海と言うツボ、腹部にある水分と言うツボなどを用いました。
治療後は、頭がすっきりとしたとのこと。
その後、腹部の張りがなくなっていくとともに、便通が2日に1回と間隔が短くなり、身体も楽になっています。