主訴:背部の熱感(身熱)・腰痛・息が苦しい
身体の熱感が強い。特に腰から首の後ろにかけて熱く、夜はそれが気になって寝れないほど。
腰は全体的に鈍痛があり、時々左の坐骨神経が痛む。また、雨が降ったりするとしんどく、息苦しくなる。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の身体の状態を判別する脈の特徴は二つありました。
まず、右の脈が特に堅くなっているという点です。右脈は身体の水成分(血・体液)が全身に行き渡っているかを診ますが、堅いということは、それが少なくなっているという事です。
一方、左の脈は表に浮かんできている状態で、滑脈という脈になっています。これは、腎臓に収められているはずの水が余分な熱のために表に出てきていることを指します。
つまり、腎臓という水を管理する臓器に問題があり、そこから熱が発生していると考えることができます。
腎臓から発生した熱は、膀胱に行きやすいのですが、問診でうかがってみると、尿量は減少しやすいとのこと。
また、身体の熱が背部に多いという事や、坐骨神経痛(膀胱の経絡が流れる部分)がでやすいということを、考えると、
腎臓の働きが弱ったことで発生した熱が膀胱やその経絡に波及して起こった症状と判別することができます。
息苦しいという症状はその熱が肺の動きを妨げることで起きます。
鍼灸治療には、腎臓の照海と言うツボ、膀胱の熱を取る中極というツボ、背部の腎兪というツボなどを用いました。
施術直後からスッキリしたという自覚があり、3~4回目には、夜の身熱が減少し、普通に寝れるようになっています。
また、台風などで雨が多かった時期も、多少のしんどさは出たものの、息苦しいという感覚はなかったそうです。