主訴:難聴・耳鳴り・頭痛・肩こり
1~2年前から少し耳が聞こえにくく、受診1~2週間前からは音が響くようになり、物音が奥の方へ響いたたり、圧迫感、閉塞感を感じる。
検査では左>右で低音部が聞こえにくい。また偏頭痛持ちで、こめかみ~側頭部にかけて痛みが出やすい。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方は左の脈に特徴があります。全体の形は沈脈というもので、少し力を入れて触れてわかるという深い所の脈です。
そしてさらに上半身を調べる部分には澀脈という流れがスムーズではないことを示す脈が出ています。
左は右と比べて外側に位置しますので、左の脈は陽気の発散がうまくいっているかを見ることができます。
今、その脈が深く沈んで流れが悪くなっていますので、うまく気の発散ができない身体ということになります。
舌診としてみますと「胖舌」といって少しむくんだ舌となっています。これは気の働きが弱り水が停滞していることを指します。
また腹診においては胃部からみぞおちにかけて水の停滞があり、つまった感じになっています。
以上から肺気の働きが弱く、発散が苦手な身体において、水の停滞からさらに気の循環が悪くなり起こった症状であると判断し鍼灸治療を行いました。
施術はお腹の中央にある中かんという胃のツボを用いて水の流れを良くして、列缺という肺のツボや合谷というツボなどを用いて肺気を動かし気の発散の増やすという処置を行いました。
最初、閉塞感が和らいでいき、徐々に耳鳴り、響く感じも少なくなっていきました。
現状では時々、頭痛と共に閉塞感がでてくることもあるようですが、その頻度も減少傾向となっています。