主訴:メニエール病(めまい・動悸・耳閉感)
来院一ヶ月前の早朝に発作が起こる。少しずつめまいがするようになり、動悸を伴いつつ、揺れる感じへと変わり、一回嘔吐する。
3時間くらいでひどい状態は脱するが、その後も同様のことが2回ほど起こる。
随伴症状としては、動悸、左耳閉感、頭重感、息苦しいなど。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈の特徴としては、左右共に沈脈を呈していながら、左の上半身を診る部分において、それがさらに顕著であったということです。
これは左の上半身において特に気の流れが深いところへ落ち込んでいることを示します。
腹部を診てみると、真ん中の胃の部分を中心としてみぞおちやわき腹が少し張っており、やや強くおさえてみると動脈の拍動が触れます。
腹部の動脈の拍動は身体の水が上逆しているということを示しますので、胃にある水が上へ上っていると考えることができます。
問診において、発症時期の生活状況をうかがったところ、ストレスや徹夜で相当疲労が溜まっていたということです。また普段からむくみやすいということもうかがうことができました。
以上から疲労によって胃中の水が上逆し、上半身に水が増えたことによるめまい、動悸症状と判断し鍼灸治療を行いました。
治療は胃中の水をさばいていくため、お腹の中心のツボ、左上半身の気を動かすために、合谷というツボなどを中心に行いました。
初回施術のあと胃のムカムカ感が軽減し楽になったとのことでした。
回数を重ねていくと耳の通りもよくなり、疲労が重なったときでも左肩や頭が重たくなる程度になっていきました。
この2ヶ月ほどはメニエールの症状はほとんど出ていないようです。