主訴:起立性調節障害(朝起きれない・低血圧・頻脈)
朝、体全体がしんどくて起きられない。気持ち的にも布団から出るのがしんどく感じる。
小学校くらいから年に数回同じようなことがあったが、今回は1ヶ月前から続いて症状が起きている。
症状は午前中までで、昼以降は普通になり学校にも行ける。
朝、低血圧(80mmHg/60mmHg)で脈拍が速い(100回/分)。クラクラ感や嘔気が伴うことがある。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
脈の特徴としては、実際に数字にも出ているように、脈拍が速い数脈であるということ。
この数脈は一般に体内の熱を示す反応と捉えますが、この方の場合は虚熱という身体の弱りから発生した熱と考えられます。
というのも、脈の形状に力がなく、深さが中位から沈位にあって勢いが少ないためにそのような判断となります。
では、その虚熱を生じた身体の弱りとは何なのかというところですが、腹診をすると右下腹部とみぞおちの両サイドにどーんと重たい部分があり、また背部を見てみると脾臓のツボに同様の反応がありました。
この二つから考えると虚熱は脾臓から発生していることがわかります。
身体の中に熱があると疲れやすかったり、だるくなったりします。
さらに、脾臓が疲れると肝臓に血を送ることができず、活動的な力が失われるため、今回のような症状が出たと考えます。
以上から、脾臓の虚により発生した虚熱、および肝臓の血の不足から活動的な力が失われたために起こった症状と判断し鍼灸治療を行いました。
治療には脾臓の働きや血の生成を助ける三陰交というツボ、脾臓から発生した熱が波及していた胆のうの経絡にあるツボなどを用いました。
2回目、3回目あたりから、起きやすいと感じるようになり、疲れも減ったとのこと。
受診1ヵ月後に血圧を測ってもらったところ3日間平均で上下共に10~15mmHg上昇していました。