主訴:慢性膀胱炎
慢性的に膀胱炎になりやすく、ここ最近は1ヶ月に1回ほどなっている。さらに今回の膀胱炎は、なってから約1ヶ月経つがなかなか治らない。
排尿回数は1日14~15回で尿濁があり、検査では肺炎球菌が下りているとのこと。
疲労時になることが多く、疲れやすいという症状もある。
一年ほど前に肋膜炎を起こしてからより頻度が増えた気がする。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の左脈には2つの特徴があります。1つめは、下半身、腎臓を診る部位が沈んで細く堅くなっていること。もう1つは身体の真ん中部分を診る脈が小指側に入り込んでいることです。
後者の方は脾臓の経絡に問題があることをしめしますが、その脈が細く堅い状態ですので脾臓の経絡内の水不足を示しています。
これは脾臓と胃がしっかりと働けず、飲食物からの水分供給ができていない状態となり、そこから腎臓の部位にも影響しています。
また、右脈の肺気を見る場所も堅く細い脈となっています。ここにも水分不足がある証拠です。
背部のツボをチェックすると脾兪と呼ばれる脾臓のツボが堅く引き締まった状態になっており、上記の状態が裏付けられます。
以上から脾臓の弱りからくる水分不足により腎の水が乾きそこからの熱による膀胱炎と判断し鍼灸治療を行いました。
治療には脾臓の経絡の陰陵泉というツボ、先ほど出てきた脾兪というツボなどを用いました。
まず、尿の回数が減ったという変化が起きました。
その後も同様の処置を続けていると、疲れにくくなってきたということです。
尿濁はまだ少しあるものの、膀胱炎は当院受診後は一回も起こっていません。