主訴:めまい(左後頭部のもやもや感)
来院1ヶ月ほど前、仕事中に歩いているとふらつく感じがしだした。そこからめまいになり病院に行くも脳や耳の問題は全くなかった。
他に左後頭部にもやっとした感じがあり、なんとなく左に傾いていくような感覚になる。
週の後半になると症状が悪化する傾向がある。
随伴症状としては肩こり、頭重感など。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈は左右とも全体に皮膚の深いところにある沈脈という脈を呈していました。
さらに脈の形は軟らかい感じの強い緩脈という脈。特に左の脈において顕著であり、左脈は濡脈に近い脈となっていました。
濡脈とは身体の陽気が減少したことで水の動きが悪くなったことを示す脈です。
腹診をしてみると、全体的に軟らかいお腹の中でみぞおちの部分に若干抵抗が見られる状態です。
また舌診で舌を見ると全体的にむくんだ舌で歯の痕がついています。そしてやや左側にむくみが偏っています。
いずれも水の流動性が悪いことで見られる所見です。
以上から身体の陽気が減少し、水の流動性がなくなることで起こっためまいとして治療を行いました。
治療には足の膝内側にある陰陵泉というツボや水の動きを管轄する三焦経のツボなどを用い、治療後は軟らかい緩んだ脈がきゅっとしまり、4日後の2診目にはめまい、肩こりの軽減が見られました。
治療を重ねていき7診目、めまい及び左後頭部の症状はほとんどなくなっているようです。