主訴:肩こり・排尿異常(前立腺肥大よる)
元々から肩が凝りやすくいつもは右だけだが2週間前から左も凝り始める。
症状はこの2年くらいで通勤時間が長くなってから強いような気がしている
また、両方のすねにもだるい痛みが出やすく、一日の終わりにはむくんでいる。
前立腺肥大があり、尿が近い、勢いがない、一回量が少ないといった症状がある。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の右脈は緩脈というものになっていました。さらにその緩脈はぬぅっとした濡らかさを帯びており、重たく沈んでいます。
この脈は体内の気が湿り気を帯び、その流れが重たくなっていることを示します。
これは脾臓の働きが弱ったことで起こるものです。
さらに腹診上ではおへその両脇にある天枢というツボのあたりにやや堅さが見られます。
また問診にて便通が柔らかめであるとのことでしたので、脾臓の弱りがあるのは間違いないようです。
左の脈を見てみると、腹部を見る部分のみ緩脈にやや堅さが見られました。
これは湿り気を帯びた気を動かすための力が少なくなり停滞が生まれていることを示します。
気を動かす力がないために、湿気が停滞し肩こり、両すねの重だるさ、むくみを引き起こしています。
また、湿気が腎臓の働きにも影響を与えているため、膀胱内の尿を動かす力まで減少しているようです。
以上から、脾臓の弱りからくる湿気の生成と陽気不足による湿気の停滞及び腎臓の働き低下から生じた症状と判断し鍼灸治療を行いました。
施術には腹部の経穴および脾臓と胃の経絡にあるツボを用いていきました。
数回で肩こりは改善してきましたが、両すねの重だるさと排尿異常は少し変化があったくらいでした。
そこで腎臓の経絡上のあるツボにお灸を加えて処置をしたところ、尿の回数は減り、一回量が増えました。
それと同時に両すねの重だるさも減少したとのことです。