主訴:扁桃腺炎
毎年、仕事が忙しい時期は体調が悪いが、今回来院1ヶ月ほど前に、声が出にくくなり、発熱、咽喉痛が出てくる。
その後、投薬にて寛解するも、仕事で無理して再発。病院では扁桃腺切除を勧められる。
今は仕事もおさえているが、咽喉の違和感や痛み、身体のだるい感じがまだ続いている。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の場合、左右の脈の全体的な形は幅のある大きめの滑脈で、特に右脈において堅めの形状をしていました。
滑脈は体内に熱が多い時に現れることが多く、それが堅めの状態であれば、やや水分の欠けた状態と見ます。
さらに右脈の上半身の肺を診る位置では、少し皮膚の深くに沈んでいる状態でした。これは熱の位置が少し深めという判断になります。
一方、左の脈においては、下半身の腎臓の働きを診る位置がやや沈みがちで堅くなっています。これも水分の欠けた状態です。
また、背部に目をやると右側、肝臓のツボから上半身にかけてやや膨隆し、堅くなっています。
そして現病歴からは、咽喉部である上半身の熱は、風邪による発熱からよるものが身体から抜けずに残っているものと推測ができます。
堅めの滑脈や腎臓の働き、背中の肝藏のツボの状況からは、普段の仕事やストレスが肝臓の熱となり、水分の欠けた状態を作っていることがわかりますので、その熱が風邪の余熱を除きにくくさせています
以上から水分の欠けた状態で発生した肝臓の熱が、風邪によって生じた咽喉(肺部)の熱を除きにくくさせている状態と判断し鍼灸治療を行いました。
施術には肺の経絡にある少商というツボや肝臓、腎臓の経絡のツボを用いていきました。
咽喉の痛みは施術を重ねるごとに収まっていき、身体のだるさもスッキリするように。
最終的に鼻の奥の違和感がありましたが、同様の考え方で寛解していきました。