主訴:慢性膵炎による背中及び左上腹部の痛み
15年前ほどに慢性膵炎との診断。疲れたり、食べ過ぎた時などに左の背中の疼痛及び左上腹部にピリピリした痛みが出る。
薬を飲んでいるが、できれば飲まないようにしたい。
その他にも慢性胃炎、逆流性食道炎、高血圧症もあり。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の右脈には堅めの弦脈という脈が出ています。また脈幅が細くなっているという特徴もありました。
これは身体の血の減少を示していますが、これが右脈に出ている場合、脾臓の働きが落ち血の元である胃の気が作れらていないと診ます。
また、腹部を診察すると、おへその上の上腹部の筋肉が表面的に張って薄くなっている状態です。
これも脾臓の働きの減少と考えます。
そして、左脈も同様の脈状ですが、身体の中部~上部にかけて引き締まりが強くなっています。
これは脾臓の働きが落ちて、気の動きが悪くなり、停滞していることを指します。
つまり実際に痛みが出ている部分はこの脈に反映されています。
以上から、脾臓の弱りによる津液及び血の生成不足、そして気の動きの停滞による痛みとして鍼灸治療を行いました。
治療は足の内側にある脾臓の経絡の地機というツボや弦脈の引き締まりを緩める太衝というツボを用いました。
施術を続けていくと、痛みの出る頻度が減少し、疲れにくくなったということです。
忙しくて薬をもらいに行けなかったそうですが、それでも痛みは緩和しているようです。