主訴:ひどい頻尿(日中1時間ごと・夜間8回)
元々トイレが近い方だったが、1ヶ月ほど前から日中1時間ごと、夜間には8回もトイレに行く。そのため熟睡できず疲労感が強い。
1回量は少なく、座ってから出るまでに少し時間がかかる。
喉に異物感を感じ、口渇も強い。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈は両手ともに、強く押さえないと脈拍を感じない沈脈というもの。
全体的には滑脈という比較的、幅のある脈。ただ左手にある腎臓の部位は小さくなり弾力も弱い脈でした。
排尿に問題があるので、腎臓の部位に異変があるのはわかりやすいですが、もう一つ特徴的なものが右脈にあります。
それは肺の部位の脈です。ここは他の部位より沈脈の度合いが強く、やや堅めに打っています。
これは肺にある熱の症候と捉えます。
実は肺に熱があると排尿に異常が出てくることがあります。
また腹部に目を移すと、おへその下、1センチほどの部位に押さえると痛みがあります。
ちょうど膀胱の少し上あたりになり、東洋医学では膀胱に入る前の水がたまる場所とされます。
以上から、腎臓から発生した熱により肺と膀胱に異常をきたし、極度の頻尿になった状態として鍼灸施術を行いました。
施術は腹部へその下にある石門というツボ、肘の内側にある肺の尺沢というツボなどを用いました。
最初は1回の尿量が増えるという変化が出て、その後治療を続けると夜間のトイレが減っていきました。
現在は夜のトイレは1~2回、日中の回数も激減し、口渇も一緒に減っています。