主訴:脱ステロイド(乳がん手術後)
3年前に乳がんの手術を受けた。その後の抗がん剤治療において副作用予防のためにステロイドを投与。
抗がん剤治療終了後から、顔面の腫れ、発赤、痒みが強く出る。その後、全身へと発赤、痒みが広がって辛い状況。
元々、幼少期からアトピー性皮膚炎があったが、今回は以前出ていた部位以外にも出ている。
身体の熱感がひどく、寝汗をものすごくかく。
脱ステロイド専門の皮膚科にて漢方とアレルギー剤をもらい、当院の鍼灸施術との併用を希望。
■東洋医学的診断と鍼灸治療
この方の脈は全体的に皮膚面近くに浮いてくる浮脈というものでですが、幅はどちらかというと細めの脈です。
特に右手の肺の状態を診る部位には、それに加えて堅い弦脈が表れています。
浮脈で細めの脈は身体の中の水が減少し熱の勢いが強くなると出ることがあります。
さらにそれが肺の部に出ているということは、肺のある上半身及び肺と関わりの深い皮膚の部位に熱があるということです。
また背中のツボを観察していると、腰にある腎臓のツボに顕著な痛みとコリコリとした堅さがあります。
水に関わる腎臓のツボのそのような反応は水分の減少による乾きを示しています。
以上から、ステロイド剤使用により腎臓の水気が減少し乾いた状態から熱が発生し、上半身、皮膚に停滞した状態と判断し鍼灸施術を行いました。
施術は肘にある曲池というツボ、そして腰にある志室というツボなどを用いて施術を行いました。
まず、寝汗の減少とともに痒みが減っていき、治療の回数を重ねていくごとに発赤も減少していきました。
皮膚の状態も徐々に良くなっています。
全身の発赤、痒みの減少は皮膚科でも驚かれるくらい早く減少していきました。
ただ、範囲は縮小しているものの、見えない部分の熱感、痒みのある部位は残っており、現状はまだ完全とは言えない段階です。(施術開始9ヶ月時点)