当院の患者さんからもご質問を受けるのですが、何かと言うと【漢方薬】のこと。
ここ数年でかなり増えたという印象があります。
その中で、最近気になったある出来事があります。
ある患者さん、身体のタイプとしては消化器系から作られる水の不足により、身体が乾きやすく上半身に熱が集中しているというもの。専門的には脾虚熱証と言います。
喉が痛くなり、風邪かインフルかと思いつつ病院へ行ったところ、咽喉痛の薬と【麻黄細辛附子湯】を出してもらったとのこと。
その日の内に一服したところ、元々もっている喘息の悪化で激しい咳。
それもそのはず【麻黄細辛附子湯】は腎陽虚証に使うお薬です。
疲労し弱ったことで、身体を温める陽気が減少したところに、邪気を受け咽喉痛を発したという病理です。
つまり、温める薬であるということです。
熱があるところに温める薬を使えば、熱が増えます。
なので、前述の咳の悪化はさもありなんというわけなんです。
あんまりこんな事を言うのもなんですが、脾虚熱証と腎陽虚証の区別もつかんのに漢方薬使うなと。
同じ症状でも病んでいる臓腑、寒熱などの違いにより効く漢方薬は変わるというのが東洋医学の常識なのですが、それをすっ飛ばしている使われ方が多いのが気になります。
インフルエンザの検査もせずに抗ウイルス薬を処方するようなものです。
ほんと、漢方薬の処方は、漢方専門医に限定した方が良いです。
ちなみに先述の患者さんは、脾臓を助け水を増やし、上半身の熱を動かすように処置したところ、一日でたくさん汗をかいた後、キレイに治りました。
この記事を書いている人
- ●兵庫県尼崎市生まれ、15歳で西宮市に引越す。
●兵庫県立西宮高等学校卒業
●関西大学社会学部在学中に森ノ宮医療学園専門学校鍼灸学科に入学し、ダブルで卒業。はり師・きゅう師の免許取得。
小学校4年の時に、バスケットを始め、そのせいかグングン身長が伸びる。開院当初は自分に治療をしつつプレーしてましたが、さすがにみる専門へ。
<学生時代>
●師匠となる石原先生の研究会で脈診を主体とする東洋医学・伝統鍼灸の素晴らしさに出会い、奈良・学園前の石原妙鍼堂にて研修を開始。
<免許取得後>
●千里中央・前田医院にて、西洋医学の学びを深めながら、鍼灸治療を担当。
●京都東山・HYATT REGENCY KYOTOの鍼灸師チームに加わり、海外の方や、伝統芸能に携わる方々の治療を行う。
●師匠の石原先生と共に、京都四条大宮・東洋医学の妙鍼堂にて鍼灸治療を担当。師匠の代診もおこない、がんや難病の方の施術も経験。
<開業>
●西宮市甲風園にて、鍼灸専門治療院 無何有(むかゆう)を開院。
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